
Webinar
AI×動物実験:DOMEが拓く動物実験の新たな時代
日時
2025年9月4日(木) 15:00 ~ 16:00 JST
演者
田邉 充樹
プライムテック株式会社 研究支援部
創薬研究開発を含む生命医学研究は莫大なリソースを消費します。例えば新薬を1つ開発するためには、平均して約26億ドルの費用と10年以上の歳月がかかると報告されています*1。また米国では毎年約1億1千万匹以上ものげっ歯類が生命医学研究に供されていると推計されています*2。こうした莫大なコストや動物使用の背景には以下の理由が挙げられます。
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従来の前臨床研究から得られる行動・生理データは短時間かつ断片的でヒトへの予測性に限界がある。
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観察の多くが実験者の手作業に依存しているために、再現性・効率性・動物福祉の面に課題がある。
こうした課題を解決するため、低コストで手軽に導入できる高精度な動物行動モニタリングシステムのニーズが高まっています。
Olden Labs社のAIスマートケージ「DOME」 は、まさにこのニーズに応える画期的なモニタリングシステムとして低コスト・手軽・高精度・自動化をコンセプトに開発された次世代の最新プラットフォームであり、既存のIVCラックやホームケージにスマートリッド(ケージの蓋)を設置するだけで導入可能です。
DOMEは、1ケージあたり最大5匹をAIが自動で識別し(RFIDやタグ不要)、移動速度、摂餌・飲水、休息、社会性行動など 20種類以上の行動バイオマーカーを24時間365日 非侵襲的にリアルタイムモニタリング・記録・定量します。また画像認識により餌の残量や水漏れの有無、個体ごとの活動量低下といったアラートを設定し、飼育管理業務を効率化することも可能です。
データはWi-Fiを介してクラウドに集約され自動で解析されるため、研究者は世界中のどこからでも、いつでもリアルタイムの解析データやライブストリーミングにアクセス可能です。これにより、慢性疾患モデルにおける症状の進行や投薬後の動物の行動変化など、従来は観察できなかった微細な変化を長期間にわたって捉えることが可能になりました。長期的かつ信頼性の高いデータは、必要な動物数の削減と研究コスト効率化に寄与し、3Rsの実現にも大きく貢献します。
本ウェビナーでは、DOMEを活用した新しい時代の動物実験について実際のデータも交えながらご紹介します。DOMEは、低コストながら高精度な動物行動モニタリングシステムとして、前臨床研究の効率性・信頼性・倫理性を同時に高め、研究の未来を切り拓く新たな基盤技術です。
*1 IFPMA Always Innovating Facts & Figures Report 2024
*2 Carbone, L. Estimating mouse and rat use in American laboratories by extrapolation from Animal Welfare Act-regulated species. Sci Rep 11, 493 (2021). https://doi.org/10.1038/s41598-020-79961-0